技術官僚モデルと民主主義モデル

科学技術社会論
科学技術社会論の挑戦1 科学技術社会論とは何か (科学技術社会論の挑戦 1)

技術官僚モデルとは、地球温暖化への対策や、ゲノム編集技術をどこまで認めるかなどのような科学の政策を、専門家と国家の政策担当者のみの閉鎖的な空間で決定する形式のことを指す。この技術官僚モデルによる意思決定は、ジャシャノフによって提唱され、1980-1990年代は主流の形式であった。

しかし、トランスサイエンスのような専門家だけでは答えられない問題や科学技術の倫理的・法的・社会的側面の問題となると、一般市民にも開かれた議論が必要となる。このような開かれたモデルを民主主義モデルという。

民主主義では、「人民の」「人民による」「人民のための」政治であるのに対して、科学技術の知識生産は、「科学技術者の」「科学技術者による」「公共のための」知識生産である。また、民主主義では、すべての人は平等に扱われるのに対して、科学技術では専門家と非専門家との間に非対称性がある。加えて、民主主義における意思決定は開かれる必要があるが、科学技術の知識生産は基本的には閉じようとする性質がある。このように、民主主義と科学技術の知識生産は相異なる性質を持つ。

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