科学技術コミュニケーションの主な目的(目指す成果)

科学技術社会論
現代の事例から学ぶサイエンスコミュニケーション:科学技術と社会とのかかわり,その課題とジレンマ

英国研究評議会の実践ガイドラインによれば、科学技術コミュニケーションの目的は、「広めること、相談すること、関与、対話」である。

まず、広めることとは、「応答を期待しないで情報を出すこと」である。また、相談は、「アイデアや情報交換に従って、公的・私的組織や地方や国家単位の組織が決定に際して公衆より入力を受けること」である。関与は「科学への興味を刺激したり、科学への関心を引いたり、公衆のなかにある課題への関心を高めたりすること」である。

対話は、「個人やグループのあいだで議論や相互作用を巻き起こし、異なって難しい何かよりも、むしろ生活の一面の科学がなること」である。この対話を通じて、公衆の態度改善や関心喚起が期待される。

また、科学コミュニケーションのモデルを単純化するために、ストックルマイヤーは科学技術コミュニケーションの成果を以下の3つの領域にわけて考えることを提唱した。

  1. 一方向情報通信:例 読者や視聴者に情報を知らせること、サイエンスコミュニケーションの研究を伝えることなど
  2. 知識共有:例 政策の形成を助けること、学際的なアプローチを手助けして統合することなど
  3. 知識構築:例 異なる知識体系から新しい意味や理解をつくることなど

英国研究評議会の「広める」や「関与」は、(1)に該当する。また、ローエンスタインの「欠如モデル」や「文脈モデル」も(1)に入る。

(2)の知識共有は、「とくに目的もなく、けれども他の人々の見方に対して洞察力を得るもの」である。英国研究評議会の「相談」や「対話」などが該当する。

(3)の知識構築の領域では、コミュニケーションの参加者同士が対等であり、知識構築に向けて重要であることを意味している。また、そのような敬意によって、他の見方は多くの公衆参加の過程で聞かれたり注意喚起されたりするのみならず、学際的な知識がその後の科学の試みへと組み込まれる。

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