技術決定論、社会構成論、技術システムアプローチ

科学技術社会論

技術発展の形式は、技術決定論、社会構成論、技術システムアプローチなどの構図で説明できる。

技術決定論は、技術的な発明が社会の変化を決め、歴史を駆動する動力となる考え方である。この考えでは、技術は社会的ニーズとは無関係に発展し、次の技術を生んでいくとされている。実際、蒸気機関や電話、自動車などのように、もともとはニーズがなかった技術が結果的には社会に普及し、人間の生活を大きく変えた技術はたくさんある。一方で、技術決定論の考えに基づくと、社会が技術をコントロールできず、好ましくない社会が形成されることになりかねない。そのような可能性を避けるために、社会を制御するための非民主的な構造をもつ統治が行われる危険も生じる。加えて、技術の社会実装の経緯を観察すると、その多くはたくさんの社会的立場の人びとが関わっていることが一般的であるため、技術の社会実装を技術決定論のみで説明するのは難しい。

技術決定論に対して、技術はある社会的集団がその目的を達成するために選択する中立的な手段であると考えるのが、社会構成論である。具体的な例としては、ピンチとバイカーによる自転車の技術史がある。自転車が登場した当時は、大きな前輪を駆動させるものが主流だった。しかし、社会的な要請から前輪と後輪をチェーンで介し、後輪で前輪を駆動するタイプが主流になった。このように、技術的にではなく、社会が望んだように技術発展が進むという考えが技術決定論ではあるが、これはあくまで技術決定論の対案を示すために提案された説である。

最後に紹介する技術システムアプローチは、ヒューズによって提案された説で、技術変化を技術的側面と社会的側面の両方を考慮したものになっている。技術システムアプローチの例としては、電力システムの発展が有名だ。電力システムは、技術的な問題に加えて、電力価格の設定や法律の制定など社会側からの関わりが大きい。このように、電力システムを構築する際は、技術的側面・経済的側面・政治的側面など複数の側面を考える必要があった。

このように、技術発展の形式のどの部分に注目するかで複数の説が挙げられている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました