科学技術コミュニケーションにおいて用いられる外部表現には、一般的なモードとして、以下の5つがある。
- 言語
- 具象/実体
- 視覚(図表)
- 身振り
- 記号
言語モード
言語モードは会話や文字などを用いた表現が該当する。
モーティマーとスコットは教室内で行われている会話を以下の4つに分類した。
- 非相互作用的で権威的:最も主流な形式で、教師が話し、生徒がそれを聴講する。これは、教育の転移モデルの中心をなす。
- 相互作用的で権威的:教師が質問を投げかけ、生徒がそれに解答する形式である。
- 非相互作用的で対話的:それぞれの生徒が質問し、それに答える形式。教師はその様子をみて評価する。
- 相互作用的で対話的:教師と生徒の両方が会話を行い、質問をしたり、それに答えたりする形式。
非相互作用的で対話的な形式や相互作用的で対話的な形式は、それぞれの生徒が自分の考えについて内部表現しやすくなり、より学習が簡単になる。一方で、このような形式の授業は、教師側に高度なスキルが求められる。
生徒は、授業の際に、教科書を利用する。しかし、授業内で教科書を体系的に読むということはあまり行われない。科学の理解のためにも読む時間の確保は重要である。
また、科学について書く時間も十分には確保できているとは言えず、時間をかける必要がある。書くことは、学びの助けになる、論理的に考える練習になる、伝える能力が身につくなどのメリットがある。
具象/実体モード
具象/実体モードは、人体模型や分子モデルなどの物体を通じた表現である。このモードには、以下のような特徴がある。
- 現物の性質が保たれる
- 視覚的である
- 現物の特徴を捉えやすい
- 現物のモデルを人間の視覚の範囲に拡大、縮小できる
具体/実体モードをうまく活用するには、生徒がそれらのモデルを通じて、実際の現物の様子を理解するための「解釈の作法」を知っている必要がある。
視覚モード
視覚モードは、写真やグラフ、図などを通じた表現である。ポッツァーとロスは、生物学の教科書に見られる4つの関係をまとめた。
- 装飾的:キャプションや本文での言及がなく、写真が掲載されている。
- 例示的:キャプションでは説明しているが、本文での言及がない。
- 説明的:キャプションで紹介され、キャプション自身にも説明があることもあるが、本文での言及がない。
- 補完的:キャプションはあるが、本文中に説明はなく、一方で追記がある。
ビデオにも上記のような型が見られることがわかっている。
グラフを利用する際は、それぞれのグラフの特徴を理解し、解釈する能力が求められる。
図は写真とグラフの間に位置づけられる。
身振りモード
身振りモードは、手や腕の動きを通じた表現である。ラッドフォードらの研究によれば身振りは以下の4つの目的のために活用されている。
- 現在話しているものを表現する。
- 現在話しているものを説明するために、それと似たものを引き出す。
- 傾向を示す。
- 話していることを強調する。
普段の生活で、身振りを意識することはあまりないが、意識を向けることでよりわかりやすい表現になるだろう。
記号モード
記号モードは、数学の式や化学の反応式を通じた表現である。科学の学びは、以下の3つの方法で助けられる。
- 生徒が理解しやすくなるようにする。
- 最も簡単な形式で表す。
- 数学の式の説明を言葉でも補完する。
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